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2015.11.06

NPO法人寺子屋プロジェクト 荒木勇輝さん

  • 社名 特定非営利活動法人(NPO法人)寺子屋プロジェクト
  • 名前 荒木 勇輝
  • URL http://www.teraschool.jp/
  • 事業内容 子どもたちに社会や経済の仕組み等を伝える教育事業
  • 自分を表す 直

学びを楽しみ、デザインする。
子どもたちの可能性を最大限に引き出す。

お寺で勉強する学習塾、だから「寺子屋」。京都ならではのユニークな場所設定に加えて、その中身も一般的な進学塾とは大きく異なる。「学びをデザインできる人」「社会に関心を持てる人」を育てることを教育理念に掲げ、荒木氏が展開するのは、子どもと大人が学び合う新しい形の学習塾である。

どんなお仕事をされているのですか?

京都市内にある3つのお寺(青蓮院門跡・妙心寺・東本願寺)で、学習塾『Tera school』をNPO法人として運営しています。生徒は小学生、中学生と高校生、講師は大学生、大学院生と社会人が担当します。通常の学習塾との決定的な違いは、生徒と講師が共に学び合うような仕組みを取り入れていることです。

共に学び合う学習塾とは初めて聞きます。

いわゆる進学塾のように入学試験合格だけを目的として、講師が一方的に教えこむタイプの授業は行いません。Tera schoolの学びには次の4つの特長があります。
1)自立型の学び:学習内容は、生徒自らが決めます。子どもたちの主体性を伸ばすためであり、講師はサポート役に徹します。
2)探究型の学び:テーマを決めて、徹底的に深掘りします。子どもながら大学での卒業研究と同じやり方で、学びを深めていきます。
3)長期型の学び:10年先を見すえて、学びます。3カ月に1度、講師の大学生と現状を見直し、10年先の予定を確認し続けます。
4)交流型の学び:多世代の人と交流しながら、学びます。さまざまな学年の子どもに加えて、講師も学習者として共に学びます。
このように子どもたちへのサポートを通じて、講師自身が学ぶことも大きな特長です。

具体的には、どのように勉強するのでしょう?

例えば「学び合いコース」なら、一回120分で集中学習とグループワークを行います。集中学習に取りかかる前に当日の目標を決め、学習後には達成度を子どもたち自身が評価します。グループワークでは、社会や経済の仕組み、文化、科学について色々な世代の人たちと一緒に学びます。ほかに「探究コース」「プログラミングコース」があり、春休み・夏休みにはキャンプも開催しています。

通常の学習塾とはかなり異なるやり方です。

何より大切にしているのが、子どもたちのモチベーションを高めて、ハイレベルのまま持続させることです。これからの世の中は、おそらく多くの人が転職を繰り返すようになるでしょう。こうした変化の激しい社会を生き抜くために最も大切なのは、学び方と学び続ける意欲です。この2つを、子どもたちに身に付けてもらうには、どうすればいいか。いろいろなスタイルを検討した結果、現在の形式を採用しました。

起業される前は新聞記者をされていたと伺いました。

京都大学で倫理学を専攻し、一時は研究者となることも考えた末に日本経済新聞社に就職しました。元々、文章を書くことが好きだったのです。特に日経を志望した理由は、人類の生活を一変させるイノベーションに興味があったから。一般紙なら地方の警察署まわりからキャリアをスタートしますが、日経なら若いうちからシリコンバレーなどに行って、Googleのようにイノベーションを創出する企業や、それに続くベンチャーを取材できると考えました。

思い通りの記者生活で充実した日々を送られていたのでは?

東京産業部から京都支社に配属され、かなり自由にやらせてもらいました。いわゆる産官学、企業、行政、そして大学の最先端の動きを、自分の関心に基いて取材して記事にまとめる。この仕事は確かに面白いのですが、やがて慣れてしまい、新たな学びが少なくなってきたのです。生きているうちに何かやらなければならない、自分の一生をかける事業を展開したい。そう考えて東京本社に呼び戻されるタイミングで思いきって独立することにしました。

なぜ、学習塾をやろうと思われたのでしょうか。

最初から決めていたわけではなく、ライターとしての独立も選択肢にありました。実際に、教育の未来を考えるサイト「eduview」を立ち上げて、教育に関わるさまざまな人に対するインタビュー記事を書いています。一方でビジネスとして展開するなら、現状に歪みのある業界に必ずチャンスがあると考えました。となると教育、医療、農業などが候補になる。一方で、京都での記者時代にお寺さんの事情にも興味を持つようになっていたので、最終的にお寺で新しい教育のモデルを立ち上げることに決めたのです。

塾業界は少子化で競争が激しいのでは?

NPO法人を立ち上げる前に1年間の準備期間を設けて、小中学生の保護者にヒアリングをしたり、先進的な教育サービスの現場を見学したりしました。少子化で市場が縮小しているうえに、労働集約型でスケールメリットがききにくく、参入障壁も非常に低いですから、基本的に儲かる業界ではないと思います。ですが、塾ビジネスのコストは賃料と人件費がほとんどなので、このコストを抑えれば生徒数が少なくても、十分回していけると考えています。立ち上げ1年で既に京都では3拠点まで増やし、今後は地方での展開を視野に入れています。地方でも子どもたちには良い教育を受けて欲しいし、同時にお寺の活性化にも貢献したいのです。

京都で立ち上げたのは、お寺さんがあるからですね。

東京も候補でした。情報発信力は、東京のほうが圧倒的に強力ですからね。ただお寺さんに協力を求めるなら、やはり京都です。しかも、京都人は、お金に厳しい。たとえ良いものでも、高ければ買わない文化が根付いています。だから、何としても京都の消費者に認められることを第一ステップの目標としました。この地で事業として成立すれば、全国どこにでも持っていけますから。

shareKARASUMAに入会された理由を教えてください。

記者時代から、オーナーの長谷社長と懇意にさせていただいてました。実はshareKARASUMAの開業が決まった時も、いち早く取材し記事にしています。そんなご縁があり、立地も抜群なのでほかを考えることはありませんでした。

ご自分を漢字一文字で表すと何でしょう?

「直」でしょうか。人を面白がらせるようなものを作りたいという気持ちに、真っ直ぐに生きて来たように思います。振り返れば小学生の頃から、いつも何かを作ることに夢中になっていて、当時の夢はゲームクリエイターか漫画家になることでした。学びの世界に転じたのも、子どもたちに学び方を身に付けて欲しい一心からです。もちろん、人生に紆余曲折はつきものですが、いつもひたむきな心を失わずに生きていきたいと思います。