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2014.09.26

MOAI 奥村基之さん

『空間の力』を最高に引き出す

どんなお仕事をされているのですか?

スペースデザイン、それも商業施設に特化した空間デザインを手がけています。例えば美容室などのサロン、飲食店、ブティックなどの物販店や、最近増えているのが医療クリニックなどの内部空間デザインです。変わったところでは、バスターミナルの待合室のデザインに携わったこともあります。

バスターミナルですか?

人が集う空間なら、どんなところでもデザインの対象になるのです。言ってみれば「そうした空間の価値を高めること」、これが私の仕事です。shareKARASUMAも前職時代に、企画段階から関わらせていただきました。プロジェクトルームに苔を貼ったのは私です。あの苔は作り物ではなく、本物の苔をドライフラワーにしたものです。

プロジェクトルームは、ユニークでとても居心地が良いです

とはいえユニークさだけを追求してデザインしているわけではありません。デザインするときに、何より心がけているのは『空間の力』を高めることです。
空間には必ず何か目的があります。例えば飲食店なら、料理をおいしく味わってもらったり、ゆったりと寛いでいただく。そこで提供される商品やサービスを、より魅力的にするのが空間の力です。最近、医療クリニックさんから依頼をいただくことが多いのですが、そうした場所に共通して求められるのは「不安を緩和する空間」ではないでしょうか。

デザイナーといえば、自己主張が強いものだと思っていました

商業空間のデザインを手がける者が、一つだけ、決して忘れてはならない原則があります。デザインは、クライアントの経営サポートをするためにあるのです。つまり、その空間を訪れるお客様が心地よくお買い物できたり、クリニックなら安心して治療を受けてもらう。そのためのデザインです。オーナーの提供する価値が、お客様にストレートに伝わった結果、何らかの購買が起こり、お客様がその場所のファンになる。そんな場を作るのが空間デザインです。過去に美容室のエントランスを真っ赤に染める仕掛けをしたことがあります。一見奇抜ですが、決して奇を衒ったわけではありません。クライアントの意図を受けて、アプローチでお客様の気分を高揚させる狙いを込めたのです。

経営的な感覚を強く意識されていますね

前職でチーフデザイナーを務めた経験が生きているようです。いつも仕事の最前線で、クライアントのトップと話をしていました。相手は経営的な視点でものごとを判断している。それも儲かる、儲からないといった低次元の話ではなく、お客様が価値を感じてくださるかどうかを、常に厳しくチェックしている。自己満足のデザインなどまったく評価されません。クライアントの業種業態を理解し、ターゲットと想定されているお客様の姿を把握した上で、伝えるべきことが自然と響く空間を創り出す。そんな仕事を続けてきました。

となるとクライアントの要望を引き出すことが勝負ですね

仕事は、そこからしか始まりません。幸い、おっとり系の顔(笑)なので、クライアントの方も話しやすいようです。ただし、顔はにっこりしていても、頭の中はフル回転の真剣勝負です。相手の一瞬の間の取り方、表情の微妙な変化などを見逃さないよう注意しています。「今の提案には、少し顔が曇ったな」とか「話をこっちの方向に持っていった時に、頬が少し緩んだ」といった案配ですね。言葉の裏にひそむ、相手の本音を察することが、仕事の7割を占めているといっても言い過ぎではないと思います。その思いこそがデザインの核になりますから。相手の意図を視覚的に確かめてもらうため、CGを駆使した画像を創ります。思いが結実した空間だからこそ、お客様はそこにいるのが心地よくなります。スタッフのモチベーションが高まるから、自然に接客の質もよくなり、売上が上がる。そもそも求人に応募してくる人の質まで変わりますね。

share KARASUMAを事務所に選んだ理由は何でしょうか

自分が企画を手がけた空間だけに愛着があります。しかも京都のど真ん中の好立地、いろいろな職種の方に会えて、刺激を受けられることもありがたいですね。長谷本社の、若い人が活発に働いている社風も大好きです。

ご自分を漢字一文字で表すと?

やはり名前にも入っているように「基」ですね。基本の基です。この仕事は、芯がぶれたら終わりです。絶対に妥協しない、いつも最高の完璧をめざす。社名になっている「MOAI」像も、何百年もの間、まったくぶれることなく、前を見つめているでしょう。顔が似ていることから付けた社名ですが、どっしりした安定感も含めて気に入っているのです。